わたしは現在海外でシェフをしていますが、今まで色々な職場を渡り歩いてきました。
日本食レストラン、地中海料理、トルコ料理、バー、カフェ、たまに単発でケータリングの仕事もしたり。
実に様々な業態を経験してきたわけですが、その中でも最も働きやすいと思ったのはヴィーガン料理のお店。
もくじ
ヴィーガンって何?
そもそもヴィーガンって何よ?という方もいらっしゃると思うので簡単に説明しますね。
ヴィーガンとは動物性食品を食べない食事法のことで、ビーガンとかベーガンとか完全菜食主義とか純菜食とも呼ばれます。
動物製品全般NGなので、はちみつも食べないし、革製品も基本使わない
日本ではまだあまりメジャーでないヴィーガンですが、海外でヴィーガンが流行る遥か前から日本には伝統的なヴィーガン料理があります。
その名も「精進料理」。知らない人はいませんよね?w
あれも動物性食品を使わない料理なので、目的や時代は違えど要は同じことです。
植物性食材で作ったなんちゃってうなぎなんかもあり一つのジャンルとしては面白いものですよね。
ベジタリアンとの違い
ヴィーガンは動物性由来のものは一切食べません。
ベジタリアンは肉や魚を食べませんが、卵と乳製品は食べます。
もっと細かく分類するとこんな感じですが、大半は卵も乳製品も食べるラクト・オボベジタリアンです。
オボベジタリアン | 卵OK、乳製品NG |
---|---|
ラクトベジタリアン | 乳製品OK、卵NG |
ペスクタリアン | 魚介類・乳製品・卵OK、肉NG |
わたし自身はヴィーガンでもベジタリアンでもないですが、それでもヴィーガン料理の店はとても働きやすいと感じています。
これからその理由をお伝えしますね。
1.オーガニックや無添加など高品質な食材を使っている
ヴィーガン=オーガニックではありませんが、ヴィーガンの人は割と健康や環境保護に熱心な人が多いため、体と地球にやさしい食べ物を追求した結果オーガニック食品を好む傾向があります。
なので、ヴィーガン対応の加工食品は無農薬やオーガニックの原材料を使い、食品添加物を使っていないものが多いですし、ヴィーガン料理店ではオーガニック野菜を使っていることも多いです。
お客さんに出すだけでなくまかないで自分が食べることもあるので、食材の質は良いに越したことはありません。
2.普通の飲食店では知り得ないことがたくさん学べる
普通の飲食店では肉も魚も卵も乳製品も使いますが、ヴィーガン料理店ではそれらを使わずに調理しなければなりません。
といってもただ動物性食品を抜けば良いわけではなく、うまみや食感を維持するためヴィーガン料理を作るにはそれなりの工夫が必要となるのです。
これは普通の飲食店では学ぶことのできない知恵ですね。
ヴィーガン料理店で使う食材
動物性食品を使わない分うまみや食感が物足りなくなることがあるので、ちょっと変わったマイナー食材を使ったり多種類の材料を使うことで食べ応えや深みのある味を出し、物足りなさをカバーします。
- 卵黄の代わりに豆腐や豆乳でマヨネーズを作る
- 肉の代わりにタンパク源としてひよこ豆を使う
- ビーツと黒豆のパテでなんちゃってハンバーグを作る
- ニュートリショナルイーストでチーズ風味を出す
- ゼラチンの代わりにサイリウムハスクで液体をゼリー状にする
などなど、普段はあまり使わないような(そして高い)食材を扱えるのはすごく楽しいです!
ヴィーガン料理の調理法
上記の通り、ヴィーガン料理では食材を工夫することで物足りなさをカバーしますが、調理に難しい技術は必要ありません。
むしろ普通の調理よりらくちん!
ヴィーガン料理は仕込みが楽
動物性食材を使った調理は、コツを掴むまでは難しいと感じるものがいくつかあります。
- 生クリームをホイップする時、泡立てすぎてバサバサになる
- 卵の黄身と白身を別々に泡立ててからさっくり混ぜる(でも混ぜすぎちゃダメ)
- マヨネーズを作る時に油を入れすぎて分離
その点ヴィーガン料理では材料を全部入れて混ぜるだけというものが多く、手順も少なければ失敗も少ない。
時間もかからないし、基本失敗がないのでストレスがものすごく減ります。
さらに、前述の通りヴィーガン料理店ではオーガニック食品を使う傾向がありますが、オーガニック野菜は農薬の心配をしなくて良いので皮ごと使えて皮むきの手間が省けるというメリットも!
ヴィーガン料理は調理も楽
肉・魚は注文が入る度に焼いたり揚げたりしなければならないものも多く、肉に関しては焼き加減の指定(ミディアムレアとか)もあるのでとにかくめんどくさいんですよねw
卵もポーチドエッグなり目玉焼きなり、1回1回作らなければならないのはなかなかの手間です。
海外では卵料理の黄身の硬さを細かく指定してくるお客さんが多く、それに対応するのも結構エネルギー消耗します。
「半熟は嫌だからポーチドエッグはウェルダンで」とか・・・ステーキ以外にもウェルダンてアリなのか!と最初は衝撃を受けましたw
ポーチドエッグは古い卵だとちゃんと固まらなかったりしますしね・・・(後述しますが、卵は見た目から鮮度が判断できないので厄介です)
一方、ヴィーガン料理は植物性食材しか使わないので豆や穀物などあらかじめ炊いておいたものを保存しておけます。
オーダーが入ったら温めて出すだけのメニューが多いですね。
3.食材の管理が楽
ベジタリアン料理店も通常の店よりは食材の管理が楽ですが、ヴィーガンは卵と乳製品がない分さらに楽です。
卵と乳製品は扱いが面倒くさい
食材は基本的に先入れ先出ししますが、スタッフ全員がそれをちゃんとやるとは限りません。
先入れ先出し:古いものを奧(下)に、新しいものを手前(上)に置くこと
たまに古いものが奥に放置されたまま時間が経ってしまうことがあります。
特に卵は見た目で鮮度を判断することができないため、割ってみたら「あ!傷んでる」みたいなことも。
牛乳や生クリームは野菜や果物と比べると足が速いため、管理に気を遣います。
消費期限をチェックして、古いものから先に使って・・・と。
牛乳は消費期限内でも開封してあるものはすぐ傷むので、期限内だからと気にせずドボドボ入れたら「あれ?なんかニオイ変・・・」ということもw
バターは長持ちしますが、いちいち必要な分だけ切って残りを包み直して・・・というのもなかなかめんどくさいものです。

ヴィーガン料理店は食中毒リスクが低い
飲食店にとって食中毒予防はめちゃくちゃ重要なミッションです。
食中毒が出れば営業停止になり損失が出るばかりか、最悪倒産します。
食中毒の原因となる食品は肉、魚、卵、牛乳などの動物性食品がほとんどです。
- まな板や包丁、作業スペースを肉と野菜で使い分ける
- 生肉を触った後は手を洗う
といった対策は基本のキですが、実際ちゃんとできている店は少ないです。
普段はしていても忙しい時間は手洗いがおろそかになってしまったり、生肉用の調理器具が充分に洗いきれてなくて二次汚染してしまうこともあります。
生肉に使ったボウルを洗ってから野菜サラダを混ぜるのに使用
↓
ボウルに残っていた食中毒菌がサラダに移る(二次汚染)
↓
サラダを食べたお客さんが食中毒を発症
上記のサラダのように加熱しないで食べる料理はもちろんですが、
- 加熱してもなかなか死なない食中毒菌もいる(ウェルシュ菌など)
- 加熱して菌は死んでも既に出してしまった毒素は熱で消すことができない
という理由から、生肉用のボウルは生肉専用にし、使い分ける必要があります。
食中毒リスクが低いヴィーガン料理店では「食中毒を出してしまったらどうしよう!」というストレスが少ないのでとても楽ですよ。
食中毒の原因は主に動物性食品
4.洗い物や掃除が楽
これはわたしもヴィーガン料理店で働くまで気付かなかったことですが、動物性食材を使っていないだけで洗い物やキッチンの掃除が本当に楽なんです。
植物性食材はニオイがつきにくい
ニオイの強い食べ物と言えばやはり肉や魚。
特にプラスチック容器はニオイが付きやすく取れにくいので、肉や魚を入れた後は何度洗ってもなかなか落ちません。
それに対し野菜や果物はニオイが弱く、プラスチックでも洗えばすぐに落とせます。
肉や魚を使わないと油汚れが少ない
肉や魚を焼くと思いのほか油が飛び散り、コンロ、壁、床などありとあらゆる所がベタベタに・・・。
直接油が飛び散った所だけでなく、蒸気に乗って油汚れが広がりキッチン全体がベタベタになってしまうのです。
油汚れがキツいとホコリが油で固まりなかなか落ちなかったりしますが、油汚れが少ないと水拭きするだけできれいになるのでとっても楽です。
みなさんも家の冷蔵庫のてっぺんとか見てみると、油汚れでホコリがこびりついてるかもしれませんよw
フライヤーを置いていない店はさらに掃除が楽
わたしが働いたことのあるヴィーガン料理店にはフライヤーがありませんでした。
ヴィーガンだけでなくオーガニックも意識した健康系の店なので、揚げ物は不健康だという考えからかもしれません。(フライヤーの油は使い回しなので酸化している)
フライヤーの掃除って結構大変なんですよね。
油を抜く
↓
フライヤーを冷ます
↓
中を洗剤で洗う
↓
水で洗剤を洗い流す
↓
新しい油を入れる
↓
廃油を専用のタンクに捨てに行く
この手間がないだけで従業員の負担はグッと減ります。
5.心身ともに健全なスタッフが多い
海外はベジタリアンやヴィーガンが多いイメージがあるかもしれませんが、実際はそういった方向性の飲食店は少数派。
なので、ベジタリアンやヴィーガンの人で飲食店で働きたい人はそういう店に集中します。
自分の食生活に合った店の方がまかないを食べる時も「肉抜いて」とわざわざ言う必要がなく楽なので。
特にシェフは味見をしなくてはならないので、ベジタリアンやヴィーガンの人が肉を扱う店で働くと大変ですからね。
ヴィーガン料理店のスタッフはキレる人が少ない
ベジタリアンやヴィーガンの人は健康に気を遣っている人が多く、動物性食品を食べないだけでなく
- ジャンクフードを食べないようにしている
- 砂糖を摂りすぎないようにしている
といった人も多いのです。
一部の食品添加物や砂糖は摂り過ぎるとイライラしたりキレたりする原因となるため、それらを控えている人は性格が穏やかな傾向があります。
もちろんそういうジャンクで甘いものをたくさん飲んでも精神を保てる人もいますが、そうでない人が結構多いのも事実です。
ヴィーガン料理店のスタッフは喫煙者が少ない
前述のように、ヴィーガンやベジタリアンはオーガニックなどを好むヘルスコンシャスな人が多いです。
そのため喫煙者が非常に少なく、店には喫煙所もありません。
中には喫煙する人もいますが、ヘビースモーカーではないので仕事中に同僚のタバコのニオイが気になるということはありません。
わたしなんかはタバコのニオイがするだけでイライラして物を投げたくなるほどの嫌煙家なので、同僚に喫煙者が少ないというのはポイント高いですね。
6.客層が良い
これは上記5.と同じ理由からです。
お客さんも基本的に健康的な食生活をしている人が多く、精神的に安定しています。
なので、店側に非がないのに理不尽なクレームを付けられることは滅多にありません。
また、店の性質上治安の良い地域に出店していることが多く、そこまで変なお客さんが入らないというのもあるかもしれません。
以前働いていた店はドラッグ・風俗・酔っ払いの聖地みたいなめちゃくちゃ治安の悪い地域にあり、頭のネジが何個か外れたような浮浪者が乱入してきて訳のわからないことを叫んだり、お客さんやスタッフに絡んで警察沙汰になることもあったし、食い逃げもしばしば。
変なお客さんへの対応に時間を割かれて本来の業務が滞っては本末転倒ですから、客層が良いというのも働く店を選ぶ上では重要なポイントです。
細かい注文、無理な要望が少ない
特に海外はそうなんですが、飲食店で働いているとメニューの一部を変えたものをリクエストされることがあります。
- ベジタリアン対応(肉、魚を抜く)
- ヴィーガン対応(動物性食材を抜く)
- デイリーフリー(乳製品を抜く)
- グルテンフリー(グルテンの含まれる小麦や大麦を抜く)
- 各種アレルギー対応
- 嫌いな食材を抜く(サラダのトマト抜きなど)
- ある食材を抜く代わりに他の食材を入れる(ソーセージ抜いて代わりにアボカドを付けるなど)
通常メニューと少しでも違うものを注文されると、普段と作業が異なるので仕事が増えミスが起こりやすくなります。
トマト抜きのリクエストの料理にトマトを乗せてしまい作り直しになったりねw
実はヴィーガン料理店では、上記のような特別メニューの要望が通常の飲食店に比べて少ないです。
というのも、そういった要望で「抜いてくれ」と頼まれるような食材を元々使っていないから。
また、ヴィーガンやベジタリアンの人は「この店はヴィーガン料理店だからどのメニューも食べられる!」とわかってわざわざ来たりするので、「◯◯抜き」の注文頻度が低いというわけです。
ヴィーガン料理店はお金持ちのお客さんが多く、お金持ちほど無理難題を言わない
また、上記のリストにある6と7が少ないのはおそらくお金持ちのお客さんが多いためだと推測します。
理由は以下の2つ。
- ヴィーガン料理店はオーガニック使用の傾向がある
- 高価なマイナー食材を使っていることにより、量に対して値段が高い
みなさんもお仕事で経験したことがあるかもしれませんが、お金に余裕のないお客さんほど無理難題を言う傾向があります。
お金に余裕のないお客さんほど、「少ないお金をはたいて来てるんだから元取れるようにいっぱい要望言ってやる!次いつ来れるかわからないし!」という感じです。
対してお金に余裕のある人は、心にも(人によっては時間にも)余裕があるため無理難題は言いません。
オーガニック系のヴィーガン料理店の場合、仕事の昼休みにササッとごはんを食べに来るというよりかは休みの日にゆっくりしに来る人が多いため、
時間に余裕がある
↓
心にも余裕がある
↓
理不尽な要望・クレームが少ない
という傾向が見られます。
料理のジャンルが違うだけで職場環境が大きく変わる
同じ飲食業界の中でもジャンクフードか健康食か、というだけで職場の人間関係や仕事のキツさまで変わってきます。
業種が違うとさらに差は顕著になりますね。
たとえば「建設会社は体育会系」とか「医療関係は喫煙者が多い」とか聞いたことありませんか?
このように、業種ごとにそれぞれ特徴があり、職種、取り扱い商品のジャンルによってさらに細分化されていきます。
日本の飲食店はヴィーガンの外国人観光客の受け入れ態勢を整えるべし
日本ではまだまだヴィーガン料理の需要は少ないですが、海外ではたくさんのヴィーガンの人がいます。
彼らが日本に来た時に困ることはズバリ、ヴィーガン対応している飲食店がほとんどないこと。
海外ではヴィーガン料理の専門店もありますし、通常の飲食店でもヴィーガンメニューを用意していたりします。
ヴィーガン専用のメニューがなくてもたとえば「冷奴にかつおぶしをかけない」といったヴィーガン対応が可能です。
日本ではそもそも完全菜食という文化が浸透していないですし、一見野菜だけの料理に見えても調味料や出汁に魚介類が使われているものも多く何かしら動物性食材が使われていることがほとんど。
ヴィーガンの人は少しでも動物性のものが入っていると食べない
ヴィーガンの人の中にも
- たまには少しくらい動物性食べてもOK
- ちょっとエキスが入ってるくらいなら気にしない
という人もいますが、大抵の人は徹底的に動物性食品を排除します。
長期間動物性食品を摂取していないと少しかつおだしを摂っただけで体調が悪くなることもあるので、完全に除去する必要がある
彼らは通常の飲食店で食事ができないため、ヴィーガン対応可能なお店に行くしかないのです。
ココナラでメニュー・レシピの翻訳承ります
ヴィーガンの外国人観光客に対応するためには英語メニューが必要不可欠。
メニューの内容を英語で記載+「Vegan」というマークを付けておくことでどのメニューならヴィーガンの人が食べられるのか一目でわかります。
元々動物性食品が含まれていないメニューだけでなく、ヴィーガン向けにアレンジ可能なメニューも表示してあげるとより親切
というわけでニュージーランドで調理師免許を持つわたしがメニューの翻訳をお手伝いします!
飲食店の英語メニューを作成します ニュージーランドの調理師免許を持つシェフがお手伝いします!
また、レシピも英語に訳したものを持っておけば「原材料をすべて確認したい」という外国人のお客様がいる時に見せるだけで説明できるので、スタッフさんが英語喋れなくても心配ありませんよ!
レシピを日本語→英語に翻訳します ニュージーランドの調理師免許を持つシェフがお手伝いします!
新しいターゲット層への集客はこれからの時代マストです。
わたしがお手伝いしますので一緒にがんばっていきましょう!

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